本当に痩せる方法

「糖質制限食」を始めると生活習慣が大きく変化する

 

「糖質制限食」を始めると、身の回りの生活習慣が大きく変化する。

 

例えばスーパーでの買い物ひとつを取っても、糖質制限を始める前と後とでは、全く買い物をする場所が異なる。

 

現在、私の住む家の近くには二軒の大きなスーパーがあるが、毎週2回は必ず行くのが比較的近いMというスーパーである。この店は、西側の入口を入ると、まず食パンヤ菓子パンが山と積まれた売り場がある。

 

以前は、ここで市販のフカフカの食パンやおやつ代りの空腹を満たす菓子パンなどを買い求め、時には和菓子なども購入したものだが、糖質制限食に変えてからは、このコーナーを素通りするようになった。血糖値を上げ難い観点からすれば、ライ麦パンなども買い求めてもいいのだが、市販の大手メーカーでは「ライ麦入り食パン」と表示されていて、ドイツパンの様なハードなライ麦パンを売っていない。

 

このことを知ってから、このコーナーには全く用が無くなってしまった。

 

次に、冷凍ピザやカレーナンなどが積み上げてあるコーナー。こちらも糖質制限食では全く必要なし。まさに眼の毒である。

 

更に進んで、チーズーコーナーがある。ここは以前、数種類のチーズの入っだ小さなセットをつまみ代りに購入する程度だったが、現在では比較的じっくり品定めするコーナーである。だが、それも糖質制限食を始めたばかりのことで、毎日食べても飽きないチーズ
となると、やはり限られてくる。私がよく買い求めるのが定番の「雪印6Pチーズ」(プロセスチーズ)である。

 

これと「十勝スマートチーズ」や「雪印カマンベールチーズ」、「雪印さけるチーズ」などを加えて、時折変化をつける。

 

チーズは、卵と並ぶ「糖質制限食」の重要な食材で、空腹時や糖質の多い間食にふと手が伸びそうになるピンチに中盤以降登板するいわば「中継ぎのエース」だ。これで食事と食事の間の空腹をピタリと防御したり、朝食や昼食を食べる時間が無かった時のような、「ノーアウト満塁」のピンチを三振と併殺で切って取るような威力がある。

 

それとミックスナッツ。この三つの食材の組み合わせで、私は当初、何度ピンチを切り抜けたことか。監督として心から感謝したい優勝メンバーたちばかりだ。

 

その隣にあるのがお豆腐などの売り場。ここでも過ごす時間が長くなった。一度に木綿と絹、3丁ずつ6丁は買い求める。糖質制限食の名作、薄揚げピザに使う、京都風の薄揚げも2つ、3つと買い物カゴに収めて行く。

 

豆腐はよく食べるものだけに、最初はあれこれと異なる品を比較してみたが、あまり美味しさを追及しても仕方がないし、味の濃いものはすぐ飽きてしまう。何よりシンプルで安くて、大量に買えるものがよい。市販でも安くて美味しいお豆腐があるので有り難い。

 

続いて、納豆コーナー。納豆もほぼ毎日食べるので、3、4箱買っていく。定番なのは、水戸産の小粒な納豆で、これに刻んだ長ネギとカラシを入れ、シンプルにいただく。小粒の方が食感的にご飯を食べているような感じになるのも嬉しいところだ。

 

こうした「小さな工夫」で幸福を感じるというのも「糖質制限食」ならではの秘かな愉しみなのだ。

 

このスーパーでは、隣が惣菜コーナーとなっている。寿司や弁当類が並んでいるが、そちらには見向きもしない。いつも手作りだと疲れてしまうため、時々、鶏の唐揚げとかカキのフライ類、あるいは豆腐のハンバーグといったお惣菜を買っていく。

 

更に食肉のコーナーが続く。ここも糖質制限食の重要ポイントだ。牛肉のそれも脂身の少ない赤身肉を焼き肉用、ジャブジャブ用と購入し、豚肉も脂肪分の少ないものを買う。豚肉類も新鮮なのが嬉しい。鶏もササミ肉を中心に必ず買う。

 

糖質制限を始めた当初は、まだまだ勉強不足で、牛肉より鶏肉の方がヘルシーだと思って毎日の様に食べていた。ところが鶏はコレステロールが意外に高いことにかなり後になってから気がついた。実は、これが血液検査の中で最後まで総コレステロールとLDL(悪玉)コレステロール値が高く、基準値を超えていた原因だった。

 

ハム、ソーセージ類もよく買う。最近では糖質ゼロのハムやベーコンもある。本来、八ム、ソーセージ類は糖質制限的にはOKなのだが、少しでも美味しいものをと思って、当初は手作りの店で買っていた。ところが美味しさのあまり、ついオヤツの代わりにパクパク食べていたこともあり、これもコレステロール過多の一因と気付いた。コレステロールについては、糖質制限と同様に、高くても問題ないという説がある。

 

ここまでで買い物は約半分。既に買い物カゴはニケースが満杯となっている。糖質制限を始める前はさほど時間をかけなかった、チーズや食肉コーナーでジックリと品を選ぶようになった。

 

その後、牛乳売り場に並んでいた無調整の豆乳も以前の牛乳同様に2、3パックまとめ買いする。牛乳は糖質制限食的には少量OKだが、私は全て豆乳に代えた。コーヒーでも豆乳を入れるか、生クリームを入れて飲む。乳脂肪の生クリームは、糖質量3.1gと牛乳の10.1gに比べて、意外に低いのだ。逆に低脂肪乳は11.6gと更に高くなる。一番低いのは、植物性脂肪の生クリームで2.9gである。

 

野菜を選ぶコツ

 

食材や料理の仕方、味については、独自のアイデアや料理哲学を持っている。そこに糖質制限と新たな概念を、糖尿病のせいで加えていき、一層オリジナルな糖質制限メニューを次々と開発した。

 

例えば続く魚のコーナーでは、お刺身を買って、サイの目切りに切った豆腐と大葉の上に乗せ、海苔で巻いて食べる「お豆腐手巻きずし」も吉村のアイデア料理だ。これは、2つ3つ食べるとすぐおなかが満腹になり、なおかつ糖質制限食ではNGなお寿司の感覚も味わえる名作である。

 

魚類は殆んど糖質がゼロに近い。鮮度のいい魚類が手に入る東京などでは、魚類中心の食材を選ぶといいだろう。

 

意外に難しいのが野菜類で、西洋カボチャ、くわい、そらまめ、とうもろこし、れんこんなどの根菜類やグリーンピースなどの豆類も糖質制限的には避けた方がよいとされている。また、ニンジン、赤ピーマン、ミニトマトなども意外に糖質が高いため、使用するにしても量を少なくするなどの工夫が必要だ。

 

野菜なども、あれはダメ、これはいけないと制限のみするのではなく、これも食べられる、あれも食べられるとむしろポジティブーシンキングで積極的に食べられるものを選んでいった方がいいだろう。

 

果物も同様だ。100g当たりの糖質量が21.4gもあるバナナを始め、イチゴ、いちじく、柿、きんかん、グレープフルーツ、スイカ、パイナップル、ぶどう、ライチは6〜15%前後の稍質量を持つ。果物の果糖は血糖値を上げづらいと言われるが、太りやすいの
で、やはり量の調整が必要となる。

 

こうした食材の選択もスーパーに通って、「食品別糖質一覧表」をおおまかに頭に入れ、実際に選びながら頭に入れていった。

 

最初は面倒なことのように思えるが、「糖質制限食」という視点から様々な食品を調べていくと、食品の栄養と健康に対する知識も自然についてくるようになる。そうなればしめたもので、スーパーに行っても糖質の少ない食品を次々と買い物カゴに入れて行けるようになる。

 

野菜や果物を糖質制限の視点で選ぶ場合、注意しなければいけないのは、個体差や品種、産地によって糖質量も異なることである。「食品別糖質一覧表」には各食品の100g当たりの糖質量が表示されていて非常に有り難いが、現実にはこれも
個体差がある。そのあたり、あまり厳密に突きつめても面倒になるので、ある程度の目安とし、後は量などで調整しても差しつかえない。あくまで大まかな方が続けやすいのだ。

 

そして、糖質制限でどうしても問題になるのは米、パン、麺、粉類、いも類−という以前は「主食」として沢山食べていた食品である。これらはただでさえ糖質が高いのに、主食として辛いおかずと共に大量に食べるから、更に糖質量が多くなる。こうした大どころを大胆にカットし、後は緇かなところにあまりこだわらないようにすればいい。

 

もうひとつは、いくら糖質が少ないからといって、一種類の食品を余り大量に食べないように気をつけることである。

 

初期の頃、私が試みて失敗した例に、小豆がある。糖質制限と意気込んでいたために、当初余計に糖質の高い物が食べたくなり、小豆を茹でたぜんざいが急に欲しくなった。食品別糖質一覧表を見ると小豆は、乾燥10gで4.1グラムとある。思ったより低い。そこで小豆を煮て、自然派甘味料のラカントsで味をつければ、ぜんざいが出来ると思い、小豆を一袋買い求めて水にさらし、コトコト煮てぜんざいにした。これを最初はホンの少しと思って食べたのだが、非常に美味しかったのでつい食が進んでしまった。後で食品別糖質一覧表を見ると、100gに換算すると糖質量は、40.9もあった。しまったと思ったがもう後の祭りだった。

 

ぜんざいも小豆を大量に食べるためのデザートである。こうした一品で量を多く食べる食品は、糖質制限食には適さない。

 

また最近まで気付かなかった「落とし穴」に果物にライチがあった。これは糖質量が4.7gだが、100g当たりでは15.5gもある。従って食べてもせいぜい1個が限度なのだ。ところが野菜中心のヘルシーなブッフェのデザートーコーナーにあるため、いつも3個、4個と手を伸ばしていた。このヘルシー・ブッフェでは、糖質の高い食品は避けているはずなのに、店を出ると必ず軽い低血糖症状が出る。いったいどうしてなのか、考えてみたら、最後のライチに落とし穴があったわけだ。

 

こうした笑い話のような失敗もすることで、逆に食品に対する知識も深まる。

 

目安としては、100g中の糖質が5g以上になると、食べる量によってI食20グラムの糖質制限量をオーバーしやすいので、食べる量に注意が必要だ。逆に100g中糖質が5gまでの食品は、ある程度好きなだけ食べても糖質制限食的には全く問題がない。

 

ライチを知らず知らずに沢山食べて低血糖を起した時、気付いたのは、糖質制限食に身体が慣れてしまうと、間違えて糖質を入れた時、極めて敏感に反応することだ。何か糖質が入ったなと身体全体で感じる。人によっては気分が悪くなる人もいるようだ。

 

こうして「あれ、おかしいな」と思ったら、その食品の糖質量を調べ、失敗の原因を探る。名探偵シャーロックーホームズの様な、原因の解明と研究が糖質制限には欠かせない。またそれを正確にやっていくと「この食品は果たして大丈夫だろうか」と謎解きの様に詳しくなってくる。

 

そう、糖質制限は続けるにつれて、実は次第に面白くなる知的ゲームでもあるのだ。

 

木の実は「好み」で選ぶ

 

スーパーに限らず、お菓子類も糖質制限ではご法度である。僅かに、ロッテの「ZERO」チョコレートか、カカオを70%以上含んだブラックーチョコレート。ゼリー類は、甘味料に血糖値を上げないタイプのエリスリトールやアスパルテームの入ったものを選ぶ。

 

この場合も、果肉などで糖質を摂取してしまうこともあるので、成分表示の炭水化物量が10g以下のものを選びたい。

 

糖質制限を行なうようになって、間食に食べ始めたのが「ティーズ・フード」と呼ばれる食欲を抑えるナッツ類である。

 

「ティーズ・フード」とは「騙す食べ物」の意味で、仕事で忙しく、なかなか食事が出来なかった時、アーモンドやピーナッツ、リンゴ、チョコ、ベリー類の果物など糖度の低いおやつを少し食べることで、食欲をうまく騙し、次に食事をしたときに血糖値が急上昇しにくいと言われている。

 

ナッツ類には、酸化ストレスによる炎症を抑えるオメガ3も入っている。このナッツ類を食べる時にもコツがある。例えば、くるみ、アーモンド、松の実などを各袋に分けて買っていくが、一種類の木の実を沢山食べるとどうしても飽きる。従ってミックスナッツが一番いいという結論に達する。

 

缶詰コーナーも、糖質制限食では意外に重宝する。ツナ、鯖の水煮、オイルサーディン、肉好きならコンビーフも旨い。糖質制限食の一番最初に食べるサラダに、この缶詰類を加えると、ボリュームアップとなる。

 

一方で同じ鯖でも砂糖を多く使った味噌煮の缶詰やイワシの蒲焼きの缶詰はNGとなる。また、鯖の水煮は、細竹の子の水煮やニラなどと味噌汁の具として入れ、最後に溶き卵を入れて煮ると非常に美味しい。缶詰類は安く、しかも長期保存が出来るのでこうした缶詰を便った料理メニューが増えていくと大変便利である。

 

これは直接、糖質制限食と関連はないが、食と健康との関係に意識が高まると、油のコーナーにも時間をかけて慎重に選ぶようになる。油には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があり、バターや肉の脂のように常温で白く固まっているのが飽和脂肪酸。常温でも液体のままなのが不飽和脂肪酸で、これは植物や魚に含まれている。

 

不飽和脂肪酸には、オメガ3、6、9の3種類があるが、このうち加熱調理することから一番不足しているとされるのが、オメガ3だ。オメガ3は、亜麻仁油やシソ油、青魚に含まれるDHA、EPAなどに多く含まれており、炎症を抑えるとても優れた働きを持っている。

 

それを知った私は、スーパーの油コーナーで、亜麻仁油とシソ油を購入。サラダを食べる時にドレッシングとして使うようになった。また、市販されているヨーグルトに、無調整豆乳をかけ、そこに亜麻仁油を小さじIさじかけて食べると、互いが相乗効果を発揮することを知り、早速、自宅でも試してみた。ヨーグルトと豆乳をまぜると、アイスクリームが溶けた後の状態になり、これに亜麻仁油をかけると香ばしい香りがして、食後のデザートとしても最高になった。

 

それまでスーパーの油コーナーなどは、オリーブオイルを購入するだけで通り過ぎていたが、糖質制限食によってダイエットした結果、更なる健康にも興味を持つようになり、油コーナーで油を選ぶ時間も増えた。

 

オメガ3は、青魚にも多く含まれており、これを不足させないためには、新鮮で生の青魚をお刺身などにして摂るのが良いようだ。

 

こうして、糖質制限食を続けながら更なる健康増進を意識して、身体によい食べ物をハイブリッドで組み合せていくには、スーパーでの買い物が大変重要となる。

 

「過去の誤った食習慣」を変える

 

「糖質制限食」を始めたばかりの頃、特に1〜2週間目は「糖質」の高いものとはいったい何を意味しているのか、当時は食材や料理についての知識も少なく、果して何を買ったらいいのか皆目、見当もつかなかった。

 

それほどまでに、意識していないつもりでも、白米やパンを「主食」として食べ、後は「おかず」で味わうという食習慣が強く残っていた。つまり、白いご飯や白いパン、砂糖といった白い食品への郷愁である。

 

白いとは、その食品本来の色が分らなくなる程、精製された食べ物で、更に菓子パンなどはこれに砂糖がまぶしてある。それを油で揚げたドーナツやメロンパンなどはまさに「悪魔の食べ物」といっても差しつかえないほどなのに、こうした白い食品が当たり前の食べ物だと信じ込んでいた心には、理屈では分っていても抵抗があった。

 

が、糖尿病とその合併症の危険性から脱出したいとの思いが「糖質」の摂取をとにかく断ち切ってくれた。その思いで、糖質を摂ることを止めたが、まだ食習慣が改まっていなかったので、一時的に食べるものがなくなってしまったのだ。料理も、あれはダメ、これもダメとよく残した。当時はならば何か食べられるのかとかなり困った。

 

それでも、強引に糖質を制限していくうち、カロリーも60〜80%ぐらいは制限することになり、いわゆる「カロリス」(カロリー・リストリクション効果)が起ってきた。

 

この間、糖質制限は続けているから、食事の際、糖質を摂った時のように血糖値が上昇し、インスリンの追加分泌によって急降下するというジェットコースターのような状態も起きない。糖尿病で一番弱っている膵臓も出番がないから休ませることが出来た。

 

またカロリスは、老化にかかおる全ての遺伝子をコントロールする司令塔「長寿遺伝子サーチェイン」を目覚めさせる働きがあり、そのスイッチがオンになることも証明されている。このため、年齢と共に進んでいく老化や、その流れを早める糖尿病、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞といったメタボリックシンドロームの流れも止められるという。

 

このカロリスと糖質制限の相乗効果で、メタボから極めて短期間で脱却でき「太って不健康でダメな自分」というマイナスイメージが払拭できたのかもしれない。

 

カロリスでは記憶力も向上することが最近の研究結果で報告されている。事実、糖質制限食を始めてからは、以前より遥かに集中力が増し、原稿を一日中書いても疲れなくなった。またカロリスをすることで味覚にも次第に敏感になり、本当に健康に必要なものこそが美味しいのだと分るようになった。

 

糖質制限食を実践したおかげで、こうした好循環へと身体と心が回転し始めた。

 

その結果、3週間で実現したマイナス20キロとウェスト20センチ減(これは主に最も落としやすい内臓脂肪の減少と思われる)。そして4ヵ月余りで達成した糖尿病数値のHbAICの基準値入り。これをその後、以前の食生活に戻さないまま、どう実現していくか考え、実行していくのが大変だった。

 

正直な話、最初の3週問ぐらいは、断腸の思いでその誘惑を断ち切っても、しばらくすると「久し振りに食べたい」とその味を確かめたい誘惑が湧き上がってくる。

 

この場合は、そのことばかり考えると余計に食べたくなるので、あえて深く考えないことにした。つまり、食に対して無関心を装う「知らんぷり作戦」だ。

 

この「知らんぷり作戦」も案外上手く行った。こうして「食欲」よりも、見た目に痩せた、若返った、目が大きくなった、髪が黒くなったという外見上の変化を重視し、人からの称賛の喜びの方を重視することにした。

 

しかし行き過ぎた我慢も禁物である。そのため、余り食べたくない時に、突然以前からどうしても食べたかったヶ−キなどをひと口口に含んでみる。すると思ったより、美味しくはない。むしろ、禁断の糖質を摂ってしまったという罪悪感みたいなものが先に立った。

 

こうして、もうこの食べ物からはもうオサラバだという儀式を時々行なってサヨナラした。もう一生分食べたのだから、健康を害するぐらいなら、食べない方がいい。むしろ食べることで、人生そのものが短くなると考えたのだ。極端に言えば、最初の頃はそんな思いだった。

 

こうして私は「過去の誤った食習慣」から少しずつ脱却し、逆に糖質制限の条件を満たす食べ物の中で美味しい食べ物、満足出来る食事を積極的に発見していった。つまり、食べられるあらゆるものを食べるのではなく、腹八分目。それでも多いなら七
分目か六分目を心掛け、糖質は制限し、タンパク質と野菜をしっかり摂る。こんな生活である。

 

こうして糖質制限食の結果、必然的に起ったカロリス効果で、私は「過去の誤った食習慣」から少しずつ脱出することが出来た。

 

しかし、それを冷静に分析することが出来たのは、糖質制限食を始めて1年半ぐらいした頃だろうか。それ以前には、とにかく最初の3週間の奇跡、4ヵ月の回復を維持させ、長続きさせるために、糖質制限食一本に絞り、取り組むだけで必死だった。

 

私はなんとか必死に乗り切れたのであるが、もっと手ごろに食生活を改善して、なるべくストレスフリーでダイエットしたい人は、このサイトのようなダイエット法と食事のとり方をオススメする。

 

同時、私は、糖質制限食の研究も始め、専門の医師や研究者に何度か逢いに行った。そしてそれを基に、糖尿病やメタボ克服をテーマにするルポ記事も書き、最新の医学情報を元に、食と健康、糖尿病治療に関する取材を積み重ねていった。

 

そして、私の周囲でも糖質制限食でメタボや糖尿病から脱出しようとする男たちが出てるし、それを「同志」として励まし、自分の体験談や専門家の研究成果などを酒を飲みながら語り合った。

 

自らが「実験台」になる覚悟でダイエットに挑む

 

糖質制限食の是非については、現在も尚、医療専門家の間でも議論が分かれている。

 

この食事療法についての安全性の議論は、現実に約2年半、医師が提唱している「スーパー糖質制限食」を実践継続中の私としても、是非様々な角度から行なって欲しいと思っている。その安全性や効果について専門的な研究を進めてもらいたい。

 

というのも、現実には糖質制限食の研究自体、実はまだ始まったばかりと言ってよく、医師を始めとするこの分野のパイオニア以外、殆んど手がつけられていないのが現実だからである。

 

自らも糖尿病患者である医師は11年前からこの糖質制限食を実践し、自らの糖尿病を自身で治療していった大変貴重な、しかも勇気ある行動だった。その結果、この「糖質制限食」という食事療法が世に紹介されてきた。

 

これを専門家の立場から、一般の人々にも分りやすくその実践方法を書いた「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」という一冊の本との出逢いによって、私のメタボシンドロームと糖尿病が劇的に良化した。このことは、私の検査数値を見ても明らかである。

 

そして、糖質制限食を始めた2年半前から一直線に良化する方向に向かっている。

 

このことだけを見ても、糖尿病患者である私にとっては素晴らしいことだと思っている。

 

ところがこの「糖質制限食」という食事療法について、日本糖尿病学会はそれを認めておらず、過度の糖質制限についての危険をうながす見解まで発表している。

 

糖質制限食に対して、その危険性を指摘されている専門医の方々の論点は、素人である私が整理する限り次の三つの疑問に絞られる。

 

これに対して、それぞれ私の患者としての考え方をまとめておきたい。

 

 

@ 糖質を極端に制限することの是非

 

糖質制限食を実際に試したことがない、あるいはその実態をよくご存じない方々が、「糖質制限は危険なのでは?」とよくおっしゃる。だが、現実に家庭や外食などで摂る糖質制限食は、糖質が少ないといっても葉物野菜やふすまパンなどから糖質をかなり摂取している。従って糖質ゼロという極端な仮定の上でその危険性を論じても本来あまり意味がない。それよりむしろ、現代生活の糖質の摂り過ぎの危険性についての研究を進めるべきだろう。

 

「糖質制限食」について批判される方はこの言葉の意味をもう一度よく読んで欲しい。決して「糖質ゼロ食」とは言っていないのだ。むしろ摂り過ぎの糖質についての危険性を防ぐのが狙いなのである。従って「糖質災害防止食」といった意味合いが強い。

 

 

A 短期のダイエット効果は認めるものの、それを長期的に行なうことの危険性

 

短期のダイエット効果については確実にあると専門家の聞でも認めている。だからダイエット効果を望む人は、それこそ極端な糖質制限食をしないように注意して、無駄な体脂肪を落して欲しい。

 

そこで気になるのが、長期的継続の危険性だが、これは正直なところ、まだ何も分らない。僅かにその危険性を指摘する側から2年間を超えると動脈硬化が逆に進むという海外の論文を引用した指摘が出ているが、その研究自身にも最初の調査以後、追跡調査をしていないなど、様々な不備が指摘されている。

 

では、糖質制限食を継続しなければ動脈硬化が止まるのだろうか。決してそうではない。むしろ糖尿病が悪化していくだけである。またメタボリックーシンドロームなどからの脱出も既存の運動療法などでは行なう側の負担が大きすぎて無理である。

 

従って従来の「カロリー制限」と「運動療法」では治らない、あるいは治せない患者がいるから、彼らを糖質制限食で救うことの意味がある。メタボの私もその一人だった。

 

一方、糖質制限食を長期に行なうことのエビデンスがないという指摘もよく行なわれている。これについては当の「カロリー制限食」にも実は、長期継続のエビデンスはない。それが心配なら医師の管理の下、専門家がキチンと調べて研究論文を書くべきである。

 

 

B 等質制限食の結果、高カロリー、高タンパク質の食事になることの危険性、大腸ガンヘの影響。

 

 

糖質制限食は、主食となる米、麺類、パン類を制限し、肉、魚などの高カロリー、高夕ンパク質を沢山摂取するため、腎臓などに負担がかかるという。これについても提唱者の医師は、腎症などに摧っている場合は、最初から糖質制限食の対象よりはずしている。

 

また、肉や魚などを大量に食べるというが、現実の糖質制限食では、それほど多くの肉や魚を毎日、食べ続けられることも出来ない。おまけに食費もかかる。従って、多くの糖質制限者は豆腐などの植物性タンパク質を摂るなどの工夫をしている。こうした実態ももっとよく観てほしい。

 

問題は腸である。食べ物によって脂肪の摂取量が多くなると、私たちの腸内の中に住んでいる腸内細菌の種類が変る。すると脂肪がより吸収されやすくなる。この結果、免疫能が変化し、活性化して内臓脂肪での炎症が起こりやすくなる。

 

更に脂肪の消化吸収には、肝臓から十二指腸に分泌される胆汁酸が必要になるが、脂肪の摂取量が多いと小腸で再吸収されるだけでは回収しきれず、大腸にまで流れていく。

 

この結果、腸内細菌が胆汁酸を分解して、二次胆汁酸を作るが、これがガン発生の促進因子になったり、インスリン抵抗性の原因となるという研究結果も出ている。

 

しかし、その一方で、脂肪分や動物性タンパク質の摂取は、血管を丈夫にし、免疫力を維持する働きもあり、日本人の場合、その欠乏が問題にもなっている。

 

結局は、やたらと食べ過ぎないこと。そしてバランスが大切なこと。同時に野菜などで食物繊維を摂り、余分な脂肪分をからめとって便として出す習慣をつけることである。そのために私も、糖質制限と並行して、ふすまパンの利用やたっぷりの野菜の摂取、コンニャク、モズクなど食物繊維の豊富な食材の利用、発酵食品であるヨーグルト、納豆などで腸内環境を整える工夫をしている。

 

つまり、糖質制限食でマイナス面と指摘される部分にも、二重三重の食のセーフティーネットを張り巡らせているわけだ。その上でこれが長期間継続すると、果たしてどうなるかは、医師同様、まさに自らが「実験台」となる覚悟でこれを行なっているとしか言いようがない。糖質制限がもたらす危険性については、更に研究してもらいたいが、同時にその恩恵についても認めるべきだろう。